デジカメとの出合い


 阪神大震災のあった年、平成7年(1995年)の夏、神戸の三宮だか元町の老舗のカメラ店にデジカメを見に行った。当時、拙者のデジカメに対する知識は、カシオのが安い値段で出てて35万画素程度だってことくらいだった。
 そこのカメラ店で「デジタルカメラについて教えてください」って言うとヘンな顔された。「新聞社なんかでは使いますけど百万円以上しまっせ」って話だ。しかし、ウィンドウの片隅にカシオの QV-10があったんで「これは?」って聞いたら、取説を見ながら説明を始めた。しかし、突っ込んだ質問をしたらしどろもどろになる。(笑) しまいには「お客さん、もっと勉強してから買いに来てくれんと…」なんて言い出す始末。(爆)
 そこで、今度はパソコン・ショップに飛び込んだ。そこではカメラ店と違ってかなり丁寧に説明してくれた。しかし、その QV-10 はどうも拙者が満足するような水準の品物じゃなかったので、買うのをやめた。

 その後、ネットのオフライン・ミーティングなんかで何度か35万画素クラス程度のデジカメを見掛けたけど、画素数や発色、電池の持ちなんかの点でマダマダって感じがした。そんな状態がしばらく続いた。

 購入に踏み切った切っ掛けは、平成10年(1998年)のメガ・ピクセルのデジカメの発売だった。ちなみに、メガ・ピクセル=100万画素というのは、1913年頃、ライツ社のオスカー・バルナックがライカの原形を設計した時、当時の映画用フィルムを使って 24 * 36mm のサイズで実現できた解像度にほぼ匹敵するとのことだ。
 逆に、ほぼメガ・ピクセルを実現するために決められたのが 24 * 36mm の、いわゆるライカ版の寸法だという説があるそうだ。
 1961年に富士フィルム NEOPAN SSS 35mm フィルムで撮影され、普通に街のDPE店に出したネガをスキャナで取込んでみたが、少なくとも 200-300万画素以上の解像度はある感じだ。なお、現在の最新フィルムだと、同じ寸法で 600-1000万画素程度の解像度になるらしい。

 で、1998年6月、富士フィルムの FinePix700 を買った。1/2型CCDで150万画素クラス。おまけに原色フィルタだ。FX700 はホーム・ページに使ってもプリント・アウトしてもまあ満足できる水準だった。
 単焦点だが、今でもこれで充分だと思ってる。しかし、縦長のデザインがなんとも違和感がある。今まで普通のカメラを使ってた拙者には左手の持って行き場に困るのだ。(笑) 自分の手に合わない道具は使いたくないって主義だから、このカメラは家族に譲ってしまった。
FinPix700

CANON PowerShot A5  色々あって、拙者専用のデジカメになったのは1998年7月に買ったキヤノンの PowerShot A5 になった。
 1/3型CCD、81万画素クラスでメガ・ピクセルじゃないし、原色フィルタでもない。でも、まあ我慢できる水準だし、何よりも一見しただけではデジカメに見えないのが気に入ったのだ。また、デジカメの中ではデザインも良い方だと思う。

 メニュー方式も使いやすいとは言えないし、スタンバイからのシャッターのタイミングも判り難いし、完全に満足できるものじゃない。画素数はともかく、発色も FinePix700 に比べるとかなり落ちる。晴れてるときだとまあまあなんだけど、なんだか緑っぽいようなくすんだ色になるのが気分がよくない。
 しかし、便利なんだね。フィルム代や現像代も掛からないしカバンの中に入れといて気軽に撮れるのがいい。だから、HPの写真はもっぱらこのカメラで撮ってた。


 次に手に入れたのは平成11年(1999年)9月末に買ったオリンパスの C-2500L だ。このカメラは2/3型CDDを採用してて画素数も200万ピクセル・クラスだ。もちろん原色フィルタ。
 撮って見たら、ほとんどフィルム・カメラの写真と区別がつかないくらいで充分に満足できる水準だ。しかもスマート・メディアとコンパクト・フラッシュの両対応で、その上、両方同時に装備できるのがいい。これは気に入った。

 しかし、不満がないわけでもない。一番はレンズの歪曲収差だ。広角側にするとかなり樽状、望遠側いっぱいにすると、糸巻き状のひずみが出る。特に樽状のひずみは気になる。ま、「カメラのレンズなんてこんなもんさっ」て割り切るとか、魚眼レンズの一種だと思えばいいんだけどね。(笑)

 あと、マニュアル設定が出来るのはいい。ただ、絞りは2段階だし、距離もメニューから呼び出しての設定だから、やり易いとは言えない。それに一眼レフだというのにファインダー内の画像はレンジ・ファインダーみたいな感じだし、レンズ交換も出来ない。しかし、わりと細かいところまで神経の行き届いたいいカメラだ。買って損のないデジカメだと言える。

 C-2500L は確かに優秀だしするから、「写真を撮ろう」って構えて出掛けるときはいいんだけど、いつもカバンの中に忍ばせておくには大きすぎる。だから、見掛けがそこら辺のコンパクトカメラにしか見えない PowerShot A5 がついついメインのカメラになってしまう。

OLYMPUS C-2500L

CANON  PowerShot A50  しかし、1999年10月のある日、PowerShot A5 が出先で故障してしまったんだ。シャクだから最寄りの電器店に飛び込んで新しいのを買うことにした。ラッキーなことに、キヤノンの PowerShot の新型 A50 があるじゃないか。1/2.7型131万画素のCCDを使ってる。しかも、サービス品でよそよりも1万円ほど安く売ってる。一も二もなく買ってしまった。

 使い勝手は以前の PowerShot A5 とほとんど変わらない。メニューの使い勝手の悪さも同じだ。(笑) レンズがズームになってて、最広角が 35mm カメラの 28mm 相当と使いやすい。しかも、ホワイト・バランスの手動設定なんかも出来る。電動式沈胴レンズってのも面白い。

 けど、補色フィルターのせいか、発色は C-2500L に及ばない。一見、きれいな色が出るんだけど、なんか人工着色っぽいんだ。妙に甘ったるく不自然な感じがする。で、なんかコクのないぺたーーんとした写真になるのだ。
 それと、単焦点の PowerShot A5 では目立たなかったレンズの歪曲収差がある。歪曲は C-2500L と同程度かな? 安いズーム・レンズだから仕方ないかな?って思うけど、以前の A5 が目立ったひずみがなかっただけに、ちょっとガッカリした。

 でも、大きさが前の PowerShot A5 とそれほど変わらないので、このカメラをいつもカバンの中に潜ませてて、拙者のメインのデジカメになってた。


 と、まあこんな具合だったんだけど、2000年5月の終わりに同じキヤノンの IXY DIGITAL ってコンパクトなデジカメを手に入れ、PowerShot A 50 は手放してしまった。
 で、それ以降は IXY DIGITAL が拙者のメインのデジカメと相成った。右の写真の左側が、その IXY DIGITAL だ。
 メーカは“クレジットカード・サイズ”なんて言ってるけど、タバコの箱とほとんど同じサイズだ。“タバコ・サイズ”と言った方がピンと来ると思うけど、タバコじゃイメージが悪いんだろうな。(笑)

 この IXY DIGITAL なんだけど、画素数は以前使ってた PowerShot A50 より上がってるけど、発色なんかは拙者の好みから、よけいに離れてしまった感じがする。やに派手なんだね。不自然に原色が強調される感じがするんだ。
 それにAEの具合も良くなくて、明るい空や蛍光灯の光などが写り込むと、かなり露出不足になる。そりゃまあ、露出補正をやってやればいいんだろうけどさ…。また、どういう訳か、フラッシュの光も弱いようだ。だから、IXY DIGITAL で撮った写真は、たいてい画像ソフトで明さやγ値を調整することになる。

 けどなあ…。こういうクラスのデジカメこそ、画像ソフトで調整したりすることなしに、そこそこのクォリティ−の写真が出来上がるようにするべきだと思うぞ。

IXY DIGITAL & PowerShot A 50

IXY DIGITAL 300


 ってことで、平成13年(2001年)4月に IXY DIGITAL の新型 IXY DIGITAL 300 を買ってしまった。(笑) このカメラは画素数こそ初代と同じ200万画素クラスだけど、フィルタが原色フィルタになってるんだ。(1/2.7型CCD)

 補色フィルタを使ってる初代とは、色再現性がぜんぜん違うんだね。AEの具合も改善されてる。ちょっと撮り比べてみたが、下に書いてるオリンパスの E-10 にそれほど遜色ないすばらしい絵ができ上がる。…こともある。レンズの歪曲収差に関しては…、もう諦めることにする。(笑)

 Webサイトの写真なら、特殊な目的があるとき以外、おおげさな1眼レフ・タイプを引っ張り出すこともなかろう。だから、この IXY D. 300 が我輩のメイン・デジカメになった。

 平成16年(2004年)6月にコンパクト・デジカメは RICOH の Caplio RX を買った。購入理由は広角端が 35mm 版換算 28mm とワイドなことだ。CCD の大きさは IXY DIGITAL と同じ 1/2.7 だが画素数は300万画素クラス。
 色んな面で IXY D. よりかなり良い。3年って歳月が経ってデジカメ全体の水準が上がったのだろう。

 更に、明るいレンズと大きなズーム比に魅せられて平成16年(2004年)8月に Panasonic の LUMIX DMC-FZ3 を買ってしまった。35mm 判換算 35mm-420mm で、レンズの明るさが全ズーム域で F2.8 ってのが魅力だ。1/3.2型原色CCD、有効画素数310万画素だから、まあ Caplio RX と同等。



Olympus E-10 オリンパス C-2500L を買ったわずか1年後、世紀末も迫った平成12年(2000年)10月に同じオリンパスの CAMEDIA E-10 を買った。そりゃまあ、金がありゃレンズ交換可能なニコンの D1 とかキヤノンの D30 なんてのが欲しいんだけど、写真を撮る主な目的がWebページ(HP)用なので、ま、この E-10 辺りが上限だろうな。

 さて、この E-10 だが、CCDのサイズは2/3型と C-2500 と同じサイズだが、有効画素数は390万画素となってる。広角端での歪曲収差が少しはあるものの、C-2500L でやや感じたレンズの甘さもほとんどないし、発色もかなり良く自然な感じになってる。更に、マニュアルでの操作がやり易くなってるのもいい。
 特殊なレンズが必要な場合を除いて、フィルム・カメラを使う必要性をまったく感じなくなってしまった。もちろん、Webサイトに使う場合は、って注釈付きだけどね。

 ただ、大きくて重いんだよね。C-2500L より更にデカく重たい。だから、気軽にいつもカバンの中に入れといて、って使い方は出来ない。


Nikon D100
Nikon D100


Canon EOS 10D
Canon EOS 10D
 まあそんなわけで、3年ほどは Olympus E-10 で満足してたんだけど
  • 電池の持ちが良くない
  • 焦点距離が35mm判相当で 35mm-140mm と
    我輩には特に広角側が物足らない
  • やや歪曲収差が気になり、
    画面の隅でほんのわずかの色収差がある
  • しかもレンズ交換できない
  • 動作がおっとりしてる
  • 最高シャッター速度が 1/650 秒と遅い
  • 時々フォーカス合わせがおマヌケなことがある
 なんて辺りが気になりだした。…贅沢なもんだね。^^; 平成15年(2003年)11月、その数ヶ月前に Canon EOS Kiss Digital なんてお買い得一眼レフ・デジカメが発売されたおかげで他の一眼レフ・デジカメも軒並み価格を下げた。

 そこで拙者が選んだのが Nikon D100 と Canon 10D だ。どちらも APS-C サイズCCDの 600万画素クラス。画質は小型CDD使用のコンパクト・デジカメとは格が違うって感じだ。この2台を使って「もうフィルム・カメラの時代じゃない」と実感し、Nikon F3 をはじめとするフィルム・カメラをほとんど全部始末した。

 この2台は JPEG ではなく RAW モードで使ってる。別に JPEG でもそれほど困らないんだけど、RAW なら露出を抑え気味に撮っておけば、少々失敗してもあとで救済できるからね。どうせ JPEG でもリサイズしたりするために、画像処理ソフトを使うから、RAW の現像(展開)も苦にならない。
 RAW で撮ることの欠点は撮影時、メディアへの書き込みが遅いこととファイル・サイズが大きいことだけど、そのうちにメモリの価格が安くなって、いずれはもっと快適になるだろう。

Rev. September 6, 2004





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